





2020年4月、コロナウイルスで世界が大変な事になっています。
このウイルスのせいで今年のサウンドメッセは中止。そこに出展される筈だったMATONギターは、イベントホールに一堂に介する事はなく都内及び大阪の楽器店に散っていきました。さながら、ドラゴンボールのように。数足りないけど。
ここで展示される予定だった名工ギターは以下の六種類。
いずれも、どこか特筆すべき材料が使用されています。
そして全てアンディの作品です。基本的に世界中の代理店とACE-K(日本代理店)で取り合いになりますが、今回はそこそこ抑えれていますね。
まず今回の目玉として相当な注目を浴びたのは、TE Personalのホンマホネック。
ホンジュラスマホガニーを使用したパーソナルモデルは、「真の」トミードンズバ品です。その上、値段はこれまでの通常品と変わらない価格で提供してくれています。後述しますが、アンディは少しでも値段を下げて良い物をたくさんの人に提供しようと、スペックシートには「マホガニー」としか記載していません。つまり、原価が変わらないので店頭価格も変わらずに提供してくれます。
2本あったのですが、都内某所のショップで、展示する前に購入されてしまったようです。
ちなみに通常のパーソナルで使われているマホガニーは、アフリカンマホガニーだと思われます。
マホガニーについて語ると、明後日の方角へ行ってしまうのでそれは別で用意する事にしましょう。

また、5Aグレード(?)のクイーンズランドメイプルを使用したモデルや、去年僕が確保したタイガーマートルウッドを使用したモデルなど、贅の限りを尽くしています。今年は気合い入ってますね。。
スペックは808と書いてありましたが、体感的にはCSクラシックのような美麗さがあります。音のキレはあまり感じませんが、反面穏やかで優しい音がします。
グレード5Aってなんやねん。5Aなんて聞いた事ないです。マスターグレードのカスタムショップ用倉庫でも無いような材なのでしょう。
ペグもグローバーですが、色が白くなっており特別製になっています。ヘッドの黒も◎

このようなカスタムショップの作品は、全てアンディ一人で作っています。
音質は、直に触れてみて貰いたいですが個体差は大きいものの、1−6限までの音量差のブレが少ないものが多く、ネックの加工が優れているのでチューニングがピッタリ決まります。ブレません。
ルシアーとはとても偉大です。fender社も何人かルシアーを保有していますが、MATON社はアンディただ独り。後継者も育てておらず、彼に何かあればそれはカスタムショップの終わりを告げる事になります。
そして、、
2020年4月時点で、病気に伏しているアンディ
そんなアンディですが、2020年の製品をもってMATON社はカスタムショップの休業を発表しました。
アンディが病気で伏しているからです。
見た目は控えめにも弱そうには見えないのですが、過去一度、癌で闘病していたという話がありますので、今回再発した可能性も否めません。確証はありませんので参考程度にお願いします。
カスタムショップの再開目処は立っておらず、今年中に回復するかも判りません。
一つだけ言えることは、MATON需要が広まりつつある日本において、将来的にこのルシアーギターがどのような扱いになっていくかと言う事です。
トミーの認知もまだまだ低いですが、一度彼を知れば少なくない人が憧れを抱き、目指すはず。
憧れれば、その対象となるのは彼のギターであり、MATONであり、最後はカスタムショップとなります。
その時の需要に対して、供給は可能か?いや大量生産が不可能なので、それは無理ですね。
現存するものの取り合いになってしまう。
ルシアーの作るギターは、大昔の刀匠と同じで、一つの例外もなく「その人が生きた証」です。
それだけの価値があり、それだけ幸せを弾き手に与えてくれるのです。
後継者不足が招くMATON社の混乱
アンディの仕事は、カスタムショップだけではありませんでした。
レギュラーライン(30万円帯)のギターに使用する材料も、選定を職人に教えているのはアンディです。
一般的にギターの木材が入ると、まず材選定を行います。
アンディがカスタムショップ用の材を選んで、カスタムショップ用(マスターグレード)の倉庫にストックし、残りをAA、AAA(ダブルエー、トリプルエー)グレードとしてレギュラー品の置き場へ送ります。
先日発売されたVeraMayなど、新しいモデルの製作には必ず立会い、まず自分が手本を作って見せてそのモデルの基準を部下に叩き込みます。そう言った際には、プロトタイプに必ずマスターレベルの材が使用されるので、スペックシートに惑わされてはいけません。レギュラーでも、時期によって二倍以上の価格のものを使用している時があります。
いずれにせよ、育成の根幹には必ず彼がいたのです。
彼がどの程度、どの範囲で仕事をサポートしていたのかは判りませんが、「MATON社の基準」を作る人であることは確かであり、世界で唯一のトミーエマニュエル専属ルシアーです。
この人が職場から居なくなったら、それまでの依存度にも寄りますが、少なくない影響が出ます。
そして、本当に困った事に「後継者」が居ないのです。
後継者が居なければ、カスタムショップは、リニューアル?閉店?どちらにせよ二度とお目にかかる事はできなくなります。コロナショックもそうですが、MATONもかなり不安定な状況になっています。

ヘッド付け根に輝くcustomshopロゴ。誇りです。
TE PERSONALはカスタムショップの中でも古い部類で、トミーの完全レプリカモデル(シグネチャーではない)です。ネックにマホガニーを使用している点、サイドバックのクイーンズランドメイプルのグレードがマスターレベル。ネックの削り出し方、加工寸法などがアンディの感覚で行われる点で差異が出ます。
今後、どうなるのか?
関係者ではなく、ただのオタクの話として聞いてください。以下にMATONを巡る需要と供給のバランス、将来の展望を予想して見る事にします。来年からアンディが引退し、カスタムショップが入って来なくなった、と言う仮定でお話をしましょう。
「2022年くらいに日本人のアーティストや芸能人で「大人気」の誰かがMATONの大ファンである事をカミングアウトし、メイン機として使用した。雑誌などでもバンバン写真に載り、一躍メーカーが世間に知れ渡る。Youtubeでも大量のギタリストがMATONを使い始める。
youtubeでMATONギターの販促を行う者が現れ始める。
ライブハウスでも、Taylorレベルに使用者が出始める。
Martin,Gibson,Taylor,Maton,Furch,Lariviee・・高級ギター戦国時代に巻き込まれる
同時期、MATONカスタムショップがリニューアルし、新しいルシアーの元、製作開始。
トミーエマニュエルが広く認知され、彼のモデルが脚光を浴び始める。
新しいルシアーとアンディのギターの比較がされる。MATON社焦る。
トミーエマニュエルが引退するも、彼の動画は永遠に残る。
日本は未婚化、孤独死が加速。人口減少。
若者を中心に、独身貴族の格好の趣味としてギターブーム・ソロギターブームが加速
2020年まで製作されていた、カスタムショップモデルに希少価値がついてしまう。
定価60万程度のものが100万以上で取引される事になる。」
このような事の無いように、無難に収めたいところですが、後継者、、、育ってないんですよね。。。
価格跳ね上がってしまう匂いがプンプンしています。
興味のある方は、早めに手を出しておくことをオススメしておきます。手遅れになる前に。



なるべく安く沢山の人に使って欲しい、商売に利用されたく無い。
そんな人なのにゃ。

職人の鏡、、どうりで評判が良い訳だ。。

お願いだから続けて欲しいものにゃ。。